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患者の家族が外国人で意思疎通が困難な場面


事例要約

患者は、40歳代の女性、難治性の乳がんで、新たに多発転移が見つかった。患者は日本人であるが、夫は外国人人で、外国語以外の言語を話すことができない。夫婦は外国に住んでいたが、患者の多発転移の診断を契機に日本で治療するために、帰国した。子どもはない。
医師からの病状説明は、夫も立ち会っているが、説明は日本語で行われており、その説明を患者が夫に通訳している。医師は、外国語を話せない。医師は、夫とコミュニケーションがとれないが、患者を通して疎通が図れていると感じている。看護師は、多発転移というシビアな病状説明を受け止めながら夫に通訳することが、患者の負担になっていると感じている。また、看護師は夫の病状の理解度を直接確認できず、夫の不安やサポートニーズを把握できないことに、困っていた。

解説・作成意図

本事例は、家族が通訳者になることでの問題を考えるために作成された。
本事例では、患者当人は日本語を話せるため、病状説明の理解は可能であろう。しかし、患者の夫のために、家族であり、且つ病気の当事者である患者が通訳者となっている。家族が通訳者となることで生じる問題は、特に外国人診療が根付いていない病院・病棟の場合で、医療従事者の共通認識でないことが多い。夫のサポート(理解度の確認、精神的フォロー等)を行うためにも、妻の力をかりずに医療者がコミュニケーションをとる必要がある。患者である妻が厳しい病状説明の内容を通訳するストレスは、計り知れない。本ケースでは不明であるが、正しく家族へ通訳されているのかという問題もある。
英語以外の言語での医療通訳の利用が難しい。